最後のニホンオオカミ

奈良県の東、三重県との県境に東吉野村があります。
四方を山に囲まれ、その合間を流れる高見川にそって、民家が点在する小さな村です。
今日は地形図をもって高見川沿いを12キロ歩きました。
 
 

 
 
この辺りまで来ると、重くてひんやりと湿った空気がただよい、まわりの山はガスで霞んでいて紅葉も 「もやの中」
しっとりと湿った落ち葉が秋の終わりを告げてるようで、山あいの村でこの秋初めて寒さを感じました。 

 
 
東吉野村役場の近くに、ニホンオオカミのブロンズ像が建っています。
引率していただいた先生から、こんなお話を聞きました。

 
最後のニホンオオカミ
 
明治38年(1905)1月、一人のアメリカ人青年が通訳と猟師をつれて鷲家口(東吉野村鷲家)に入ってきた。
以前に比べると他地域との交通も活発になり始めていたとはいえ、外国からの来訪者はおそらく初めてで、
人々の好奇の目を集めたに違いない。
 
青年の名はマルコム=アンダーソン、26歳の動物学者であった。
アンダーソンはイギリスの貴族ベッド=フォードの出資でロンドン動物学会と大英博物館が企画した
東アジア動物学探検隊の一員として来日したのである。
鷲家口に2週間滞在したアンダーソンは、タヌキ、イタチ、テン、シカ、イノシシ、等々を捕獲した。
このように哺乳動物の収集を行うアンダーソンの前に二人の猟師がオオカミの死体をかついで売りにきた。
どうやら動物を集める西洋人が来ているという話を聞きこんできたものらしい。
初めは値段がおりあわず、いったん交渉は決裂したが、やがて猟師の方が折れて8円50銭でオオカミはアンダーソンの手に引き渡された。
 
日本には古くから北海道にエゾオオカミ、本州以南にニホンオオカミという二種類のオオカミが生息していた。
このうちエゾオオカミは明治政府による北海道開拓の犠牲となり、明治中期に姿を消した。
ニホンオオカミもすでに数が減少しており、鷲家口でアンダーソンに売られたものを最後についに絶滅したと考えられている。
この時のニホンオオカミは現在、イギリスの大英博物館に採集地「ワシカグチ・ホンド・ニッポン」と記録され標本となって保存されている。
 
                                                                               東吉野村史より
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最後のニホンオオカミ への14件のフィードバック

  1. saganhama より:

    こんにちわ(^O^)/
    一日で12キロ歩かれたんですか!自然に恵まれた環境を満喫されたようですね。
    日本オオカミのお話は興味深く読ませて頂きました。吉野の地が最後の日本オオカミ生息の地
    といわれてる事は知りませんでした。今でもオオカミが生息してると言われてる地は何箇所かあるのは
    聞いた事がありますが。
     
    オオカミは自然の生態系バランスを保つのに重要な役割を果たしてるそうです。オオカミの様な肉食獣
    がいて生態系が保たれるそうで、人間の都合で彼らを絶滅追い込んでしまった事が、鹿、猿、イノシシ
    などの害が発生する原因だそうですね。
    オオカミを自然に放す事で、生態系を復活させようと取り組んでおられる方もいるそうです。ただ、今の時代に
    それを実現するのはかなりの大きな壁が有るのは事実ですから・・・・・??

  2. ゆん より:

    コスモスさん、こんにちは。
    12キロも歩かれたんですか?すごいですね!お疲れ様です。
    先生が引率していらっしゃるから、何かの講座ですね!
    見せていただいていると、日差しも強くないし、気持ちがよさそうなところですね。
     
    オオカミといえば、私の田舎は裏に山が聳え立っていますので、小さいころいたかもしれません。
    夜になると、遠ぼえが聞こえていて、夜は山へ近づかないようにいわれていました。
    何匹か群れでいたように思います。
    でも、野犬だったのかもしれません。記憶が定かではありません。

  3. コスモス より:

    hamahamaさん、こんにちは~!
    昔のようにオオカミがいたら、農家は猿やイノシシの害から逃れられたでしょうし、
    増えすぎた鹿によって山の自然が壊されることもなかったのでしょうが、今またオオカミを自然に放し
    生態系を復活させることで元に戻せるのか、人間に危害を及ぼすことにならないか、難しい問題なのでしょうね。
     
     

  4. コスモス より:

    ゆんさん、こんにちは~!
    地形図を読みながら歩く会で、磁石で方向を確かめ、その土地の歴史を学びながら歩きます。
    同じ県内でも一ヶ月くらい季節が違う感じがしました。寒かったです。
    東吉野村史に出てくるオオカミは、公式に報告されてる最後のオオカミだそうで、
    確認されないところで生息していた可能性があります。
    ゆんさんの田舎ににいたのも、そうかもしれませんね。

  5. jazzy より:

    こんばんわ、コスモスさん
    このブロンズ像見られましたか、
    シバイヌよりひとまわり大きいくらいです
    やっぱり僕は帰ってきてほしいですね~
    ところで、エゾオオカミは絶滅していないのですよ
    北海道のエゾオオカミはいなくなりましたが、サハリンには全く同じエゾオオカミが生存しています
    でも数は激減しています
    ヒトは開発ではなくほんの少し自然界から退いてあげると彼らの環境を守れるのに・・・と思ってしまいます
    大峰や、台高の山々を疾駆する彼らの姿をいつか見られる日がきっと来ますよ
     

  6. コスモス より:

    jazzyさん、こんばんは!
    オオカミってもっともっと大きい動物かと思っていましたのに、等身大のブロンズ像を見てびっくりしました。
    ちょっと大きい犬くらいですね、意外でした。
    そうですよね、人間は自分達の利益のために開発していきますから、
    動物たちはどんどん追いやられてしまいますね。
    彼らのために少し残してあげるだけでずいぶん変わったでしょうに。

  7. yasuko より:

    おはようございます! 今でも、もしかしたらニホンオオカミがいるんじゃないかと思わせられる景色ですね。
    最後のニホンオオカミが8円50銭で・・・ もしその動物学者が来ていなかったら、そのオオカミはペアの相手との間に仔オオカミを残すことができたかしら。
    もう既に、一人ぼっちだったのかもしれませんね。 最後の1匹に孤高に誇り高く死んでほしかったなぁ・・

  8. コスモス より:

    離心円さん、こんばんは~!
    そうなんですよ、この村は山と山の間を流れる川に沿ってわずかな土地に家が並んでいて、
    少しの畑があるだけで、田んぼは見当たりませんでした。
    昔は山の中にたくさんのオオカミがいたのでしょうね。
    もしもこのオオカミが仔オオカミを残しても、絶滅は時間の問題だったと思います。

  9. 愛月 より:

    ここ数日で季節はがらっと変わりましたね。
    ひんやりとした空気を感じる紅葉の山々ですね。
    ひと足早く、秋の終わりを感じるコスモスさんさんの行動範囲は、とっても広くって感心します。、
     
     

  10. コスモス より:

    まるちゃん、いつも有難うございます。
    こちらも朝晩ひんやりとしてきて、そろそろセーターがほしくなってきました。
    奈良県のおおよそ南半分は大峰山脈にかこまれた奥深いところで、
    市の中心街とは一ヶ月くらい季節が違うような気がしました。
    燃えるような紅葉に包まれるのももうすぐですね。

  11. KEN16 より:

    こんばんは コスモスさん
    気がつけば秋が深まってるのですね!奈良県の東部の山深いところまで出かけてこられたのですか?
    あたりの景色が少し疲れそうな体と心を助けてくれつつ楽しんで歩かれたのでしょうか?
    それにしても山間の日陰になった景色を拝見して、張りつめた空気の冷え込みを感じます。
    地図をもって歩き続けることは、何か哲学的というのでなく、しっかりと目的を持った鍛錬の○○??
    頼りになる指導者が同行されてのウォーキングはさぞかし有意義な一日だったことでしょうね!
    最後のニホンオオカミのお話、その語りを楽しませてもらいました。また寄らせてください

  12. 猫と薔薇と私と より:

    こんばんは コスモスさん
     実家の 「養父神社」も 狼伝説が あるんですよ。 神社の中に 小さなお社があって そこに藁ぞうりが供えてあります。
    旅人を 境まで(地所の境目)送るのだそうです。山道に入るとき 「狼さん狼さん よろしゅうお頼みします。」と お願いして 
    山路越したら 「おおきに ありがとうさんです。」と 後ろを振り向かず 小腰をかがめて 挨拶するそうな。で 後日 必ず
    ぞうりを 奉納する慣わしだそうな。 南方熊楠も 採取した昔語りだとか。私は 母に教えられ 行く度にお賽銭 入れたものです。
     今度は ぞうり お供えしに行って来ようかしら。藁じゃなくて 荷物紐で 申し訳ないんだけど( ^_^ ;)。

  13. コスモス より:

    KENさん、こんばんは~!
    お返事が遅くなってすみません。
    地形図と磁石をもって、今どこを歩いているのか確認しながら歩きました。
    歩くと体は疲れるのに、心は癒されてまた元気がでるのがいいですね。
    ふるさとは初雪が降ったと、テレビのニュースで見ました。
    これから寒さがきびしくなりますね。

  14. コスモス より:

    猫と薔薇と私と さん、こんばんは~!
    「狼伝説」があるんですか?
    昔から言い伝えられてる「お話」って味があっていいですね。
    田舎のほうでは、キツネやタヌキにまつわる話を子どものころによく聞きました。
    こんな野生の動物が、昔は普通に人間と共生していたのですね

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